『ご老人は謎だらけ 老年行動学が解き明かす』 [☆☆]
・人はみな、自分が死ぬことを知りながら生きているからです。いつか必ず死ぬとわかっていながら生き続けるには、「自分には生きている意味がある」という自己肯定感や、「自分は生きる価値のある存在だ」という自尊心感情が必要で、それがないと人は生きていけないのです。
・ネガティブなことに目を向けるよりも、ポジティブなことに目を向けた方が生きやすいため、注意力や記憶力という「限られた資源」を、ポジティブなことに当てるようになるのです。
・短期記憶は、大部分が失われます。海馬に貯蔵されている間に、繰り返し思い出されることで強化されたり、別の事柄と関連づけられ一塊にされたりした記憶だけが、脳のそれぞれの場所に送られ、長期記憶として保存されるのです。
・心理学では、自分の欲求や願望に沿うようにまわりの世界を変えようとすることを「一次コントロール」、現実の世界に合うように自分の内面を変えることを「二次コントロール」と呼びます。
・シルバービジネスがうまくいかないのも、ターゲットである老人の主観年齢が老人ではないからです。服を例にとると、老人向けにつくられた服が老人に売れないのは、誰も自分をその服が似合うほど老人だとは思っていないからです。
・主観年齢が若く、年をとりたくないと思う人が多いために、シルバービジネスは難しいけれどアンチエイジング産業は隆盛、という状況が続いているのです。
・シルバービジネスはまったくダメかといえば、そうともいえません。シルバー向け商品などは、老人本人は買わないものの、子供たちが買って親にプレゼントするからです。
・これまでずっと、超高齢化社会といわれながら政策が改善されなかったのは、主体である老人が、自分自身を老人だと思っていないために、本気になれなかったからなのです。
・青春時代の記憶を突出してたくさん思い出す現象を、「レミニッセンス・バンプ」と呼びます。
・電車に乗るとき。周りの人を突き飛ばさんばかりの勢いで、一目散に空席に突進する老人がいますが、これも情報処理のスピードが遅くなったためにとる行動です。空席を見つけて、それを確保することだけにリソースが使われてしまい、周囲の状況に配慮するだけの認知的余裕がないのです。
・人が何か行動をするときは、まず計画を立て、どのようにすればよいかをシミュレーションして、行動を開始し、遂行し、完了します。この一連の流れには多くの情報処理が伴うため、老人は無意識のうちに自ら行動することを難しいと感じ、他者に頼るのです。これが若い世代には「自己中心的」と映ってしまいます。
・昔は甘いものなど食べなかった人が、甘いもの好きになったりもします。年をとるとだんだん味覚が衰えて、塩味などはあまり感じなくなってしまうけれど、甘みだけは最後までよく感じるからだといわれます。
・「わがまま」は、「自分勝手」とは少し違います。本来は「自分が決めたことを、自分の思うようにできている」という意味です。
・「いやだ」とか「そうしたくない」と言ったら嫌われてしまいそうだから言わないでおこうと、自分を抑え続けているうちに、自分から何かをすることができなくなってしまうのです。
・百寿者のように長生きの人たちは、高カロリーの肉類を好んで食べる傾向が高いのです。
・食に対するまちがった思い込みを「フードファディズム」と呼びます。年をとるほど、このフードファディズムに陥るために、低栄養や低タンパクになる危険性が高いのです。
・老人は自分が失敗したことによって自信を失うのではなく、他者から失敗の事実を指摘されることで、自信を失うのです。
・ビタミンB1が欠乏すると、アルコールとの相互作用によって、ウェルニッケ・コルサコフ症候群と呼ばれる認知症と同様の症状を呈します。
・老人向けに文字を大きくしたり、操作が単純化されていたりする家電製品が出ていますが、それでも失敗するのはなぜなのでしょう? 大きな理由の一つは、最近の家電製品は、炊飯器や洗濯機といった、いわゆる白モノ家電でもコンピュータ制御になっているため、操作が階層構造であることです。老人の頭は、そのような階層構造に慣れていません。
・今の子供は、生まれたときからコンピュータ制御の機器に慣れていて、いわば頭がデジタルにできています。そのため、階層構造で先へ進む仕組みを、直感的に使いこなせるのです。
・老人になると、注意力だけでなく、注意と表裏一体の関係にある抑制能力も衰えるために、いったんやりかけた行為を途中で止めることができにくくなります。たとえば、老人の自動車事故の中には、ブレーキとアクセルの踏み間違いによるものがかなりあります。これは、踏み間違ったと気づいたらアクセルを放せばよいものを、行為を途中で抑制できないために、アクセルを踏み続けてしまうのです。
・バリアフリーというと、普通は段差の解消やエレベーターの設置などハード面を思い浮かべますが、本当はソフト面のバリアフリーも必要です。老人にも見やすい表示にする、単純な操作で用が足りるようにするなど。
・女性たちが互いの服装などをほめ合う行為の根底には、性差別と、それによる社会的評価の低さがあります。このような性差別からくる社会的評価の低さを、互いにほめ合うことで補い、満足感を高める方法を、女性は子供のころから無意識に身につけてきたのです。
・ピンピンコロリを願う心の根底にあるのは、認知症や障害のある人に対して、「ああはなりたくない」と思う気持ち、きつい言い方をすれば差別感です。

・ネガティブなことに目を向けるよりも、ポジティブなことに目を向けた方が生きやすいため、注意力や記憶力という「限られた資源」を、ポジティブなことに当てるようになるのです。
・短期記憶は、大部分が失われます。海馬に貯蔵されている間に、繰り返し思い出されることで強化されたり、別の事柄と関連づけられ一塊にされたりした記憶だけが、脳のそれぞれの場所に送られ、長期記憶として保存されるのです。
・心理学では、自分の欲求や願望に沿うようにまわりの世界を変えようとすることを「一次コントロール」、現実の世界に合うように自分の内面を変えることを「二次コントロール」と呼びます。
・シルバービジネスがうまくいかないのも、ターゲットである老人の主観年齢が老人ではないからです。服を例にとると、老人向けにつくられた服が老人に売れないのは、誰も自分をその服が似合うほど老人だとは思っていないからです。
・主観年齢が若く、年をとりたくないと思う人が多いために、シルバービジネスは難しいけれどアンチエイジング産業は隆盛、という状況が続いているのです。
・シルバービジネスはまったくダメかといえば、そうともいえません。シルバー向け商品などは、老人本人は買わないものの、子供たちが買って親にプレゼントするからです。
・これまでずっと、超高齢化社会といわれながら政策が改善されなかったのは、主体である老人が、自分自身を老人だと思っていないために、本気になれなかったからなのです。
・青春時代の記憶を突出してたくさん思い出す現象を、「レミニッセンス・バンプ」と呼びます。
・電車に乗るとき。周りの人を突き飛ばさんばかりの勢いで、一目散に空席に突進する老人がいますが、これも情報処理のスピードが遅くなったためにとる行動です。空席を見つけて、それを確保することだけにリソースが使われてしまい、周囲の状況に配慮するだけの認知的余裕がないのです。
・人が何か行動をするときは、まず計画を立て、どのようにすればよいかをシミュレーションして、行動を開始し、遂行し、完了します。この一連の流れには多くの情報処理が伴うため、老人は無意識のうちに自ら行動することを難しいと感じ、他者に頼るのです。これが若い世代には「自己中心的」と映ってしまいます。
・昔は甘いものなど食べなかった人が、甘いもの好きになったりもします。年をとるとだんだん味覚が衰えて、塩味などはあまり感じなくなってしまうけれど、甘みだけは最後までよく感じるからだといわれます。
・「わがまま」は、「自分勝手」とは少し違います。本来は「自分が決めたことを、自分の思うようにできている」という意味です。
・「いやだ」とか「そうしたくない」と言ったら嫌われてしまいそうだから言わないでおこうと、自分を抑え続けているうちに、自分から何かをすることができなくなってしまうのです。
・百寿者のように長生きの人たちは、高カロリーの肉類を好んで食べる傾向が高いのです。
・食に対するまちがった思い込みを「フードファディズム」と呼びます。年をとるほど、このフードファディズムに陥るために、低栄養や低タンパクになる危険性が高いのです。
・老人は自分が失敗したことによって自信を失うのではなく、他者から失敗の事実を指摘されることで、自信を失うのです。
・ビタミンB1が欠乏すると、アルコールとの相互作用によって、ウェルニッケ・コルサコフ症候群と呼ばれる認知症と同様の症状を呈します。
・老人向けに文字を大きくしたり、操作が単純化されていたりする家電製品が出ていますが、それでも失敗するのはなぜなのでしょう? 大きな理由の一つは、最近の家電製品は、炊飯器や洗濯機といった、いわゆる白モノ家電でもコンピュータ制御になっているため、操作が階層構造であることです。老人の頭は、そのような階層構造に慣れていません。
・今の子供は、生まれたときからコンピュータ制御の機器に慣れていて、いわば頭がデジタルにできています。そのため、階層構造で先へ進む仕組みを、直感的に使いこなせるのです。
・老人になると、注意力だけでなく、注意と表裏一体の関係にある抑制能力も衰えるために、いったんやりかけた行為を途中で止めることができにくくなります。たとえば、老人の自動車事故の中には、ブレーキとアクセルの踏み間違いによるものがかなりあります。これは、踏み間違ったと気づいたらアクセルを放せばよいものを、行為を途中で抑制できないために、アクセルを踏み続けてしまうのです。
・バリアフリーというと、普通は段差の解消やエレベーターの設置などハード面を思い浮かべますが、本当はソフト面のバリアフリーも必要です。老人にも見やすい表示にする、単純な操作で用が足りるようにするなど。
・女性たちが互いの服装などをほめ合う行為の根底には、性差別と、それによる社会的評価の低さがあります。このような性差別からくる社会的評価の低さを、互いにほめ合うことで補い、満足感を高める方法を、女性は子供のころから無意識に身につけてきたのです。
・ピンピンコロリを願う心の根底にあるのは、認知症や障害のある人に対して、「ああはなりたくない」と思う気持ち、きつい言い方をすれば差別感です。

- 作者: 佐藤 眞一
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2011/12/16
- メディア: 新書
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