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『公正的戦闘規範』 [☆☆]

・俺にとっては椅子を暖めて時間給を貰う仕事の一つでしかない。

・全ての仕事に陳のような天才が必要なわけではない。古いコードを再生するエンジニアは必要だ。

・トリリンガルは珍しくもないが、日、中、英で日常会話と専門分野、ビジネスプロトコールを全部こなせる彼は本物のエリートだ。

・知らないだけ――そんな単純なことで、あんな苦労をしているということなのか。

・与えられた目標を達成するために、手段を選ばず、倦まず弛まず邁進するこいつは、理想的なエンジニアではないだろうか。

・デスク兼CEO「被災者の声」を足せ、と求めてくるだろうが、無視するつもりだ。既に被災者自身がウェアラブルのカメラで撮影した「生の」映像が無数にアップロードされている。わざわざ足す必要はない。

・救援物資を空中配送する八枚ローターの無人機はセブ復興の象徴でもあるが、不心得者の狩猟の対象でもある。

・すぐ自分のせいだって考える。自然災害の規模なんて予測しようがないじゃない。百年に一度の災害に備えるなんて無駄よ。十メートルの防潮堤でセブのビーチを囲っちゃう? 唯一の観光資源よ。ありえないわ。

・すべての量子アルゴリズムは可逆なんだ。二という出力があれば一足す一の結果なのか、二掛ける一なのかは必ずわかる。時間の矢に縛られていないからね。

・善意だけでは続かない。同じような災害が別の場所で発生すれば、支援の手と注目は急速にセブから離れていくだろう。

・遅れや休みを「Bahala na!(なるようになるさ)」と受け流していた人々。

・高度なインフラは、住民にとって完全な「ブラックボックス」だ。このインフラを次の繁栄につなげるためには、次の社会を担う子供たちへの教育が欠かせないはずなのだが、手は足りない。

・中国政府が「全民接続」の名の下に、経済的に恵まれていない地域で配布した高性能スマートフォンだ。小さなケースに詰め込まれていた声紋、指紋、虹彩認証が政府の生体情報収集のためだったことは軍に入って対テロ出動するようになってから知ったのだが。

・自爆テロが減ってるのも、八十ドルやそこらで確実に人を殺せるキルバグの方が、麻薬や暴力を使う洗脳よりも圧倒的に安いからだよ。

・何もいいことのなかった村だった。話したい人など誰もいない村だった。六年帰らなくても気にならない村だった。

・いいか、勝負には勝つか負けるかしかない。つまり、五十%の確率でおれたちは勝てるということだ。

・人民裁判にリンチ、一番マシなケースでも、憲法の全文を読んだこともないような素人判事が、AIのことを何も知らない陪審員を誘導して懲役刑を科す。

・軍用のM-16からフルオート機構を外した市販品だが、彼らのAR-15がフルオート射撃ができるように改造してあることをハルは疑わなかった。

・ゴミをかき集めるブラシと、車輪という身体、そしてゴミを片付けたい人間という環境が、掃除機の身体性だ。そこに、小さなアルゴリズムが与えられた。回収できるゴミが少なくなるか、バッテリーが切れるかするまでランダムに移動せよというものだ。

・僕は神など信じない。だが、敬虔な人は信じていいと思っている。



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