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『貧乏人の経済学』 [☆☆]

・貧乏な人の暮らしを想像するには、日本で暮らして日々の生活に必要なものすべて(家賃以外)を1日120円で賄えるかどうか想像してみればいいでしょう。

・1日120円(99セント)で暮らすということは、情報へのアクセスが限られるということです──新聞、テレビ、本はどれもお金がかかります──だから世界の他の人々が当然だと思っているいくつかの事実をまったく知らないことがあるのです。例えばワクチンで子供がはしかにかからずにすむ、という事実がわからなかったりします。

・生きるのに十分な食料を得るという圧力は、一部の人々を極端な行動に走らせることにもなりました。穀物の不作が頻発し、魚も十分に獲れなくなった「小氷河期」(16世紀半ばから1800年まで)に、ヨーロッパでは「魔女」殺しが流行しました。多くの場合、魔女は独身女性で、特に寡婦の場合が多かったようです。

・タンザニアでは干ばつが起きるたびに「魔女」殺し──資源が切迫しているところで、ときどき非生産的な口を減らす便利な方法──が頻発しました。家族は、それまで同居していた老女(通常は祖母)が突然魔女だったと気がついて、その老女は追放されたり、他の村人に殺されたりするのです。

・国際的に栄養失調とされるBMIは18.5以下で、18.5から25までは平常、25以上は肥満とされています。

・開発途上国の貧乏な人々が、おそらくメンツを失いたくないという強迫観念もあって、結婚式、持参金、洗礼式などに大金を使っていることはあちこちでたっぷり報告されています。

・一般的に、貧乏な人々が生活を退屈から救ってくれるものを最優先しているのは明らかです。それはテレビ、あるいはちょっとした特別な食べ物だったり──あるいは単に砂糖のたっぷり入った紅茶しれません。

・貧しい人々はラジオやテレビがないところに限って、祭りにたくさんの金をつぎ込む傾向があります。

・早期の老化にはいろいろな原因が考えられますが、ステロイドの使用も間違いなくその一つです──そして利用者は単に外見が老けるだけでなく、寿命も縮んでしまいます。

・人は自分の納得できることを基に様々な選択しますが、多くの人に高校の基礎生物学程度の知識さえないならば、彼らの決定がでたらめなのも頷けます。

・多くの国の貧しい人々は、薬は血液に直接送り込むことが重要だという考えを持っています──これが彼らが注射を望む理由です。

・貧乏な人たちが、ありえないような信念に固執する理由は、他に打つ手がなければ、希望が不可欠だということです。

・人は生まれながらにして、小さなコストを先送りし、現在の自分ではなく将来の自分に負担させたがります。

・人は蚊帳やクローリン瓶の購入を先送りします。もっといいお金の使い道(道のむこうで誰かがほら貝のフライを揚げているとか)が今あるからです。

・ケニアで教育に使われている言語は英語で、教科書も自然に英語のものになります。でも、ほとんどの子供にとって英語は第三言語(地域の言葉、そしてケニアの公用語であるスワヒリ語の次にくる言葉)にすぎず、ほとんど喋れません。

・インドのIT企業のインフォシスは、正式な資格を持たない人を含め、誰でも足さえ運べば、教科書のお勉強ではなく知識と分析能力に的を絞った試験を受けられる試験センターを設立しました。ここで良い成績を収めた人は訓練生となって、訓練生として成功すれば仕事を得られるという仕組みです。

・1970年には平均的なブラジル人女性は6人の子供を持っていましたが、メロドラマの中では50歳以下の女性キャラクターは子供を1人も持たず、いても1人だけでした。ある地域でメロドラマが視聴できるようになると、すぐに出生者数が急に減少しました。

・問題は、自制心というのは筋肉のようなものだ、ということです。使うと疲れるのです。だから貧乏な人のほうが貯蓄しづらいのも無理はありません。

・貧乏な人はかなりのストレス下で暮らしており、ストレスによるコーチゾルはもっと衝動的な意思決定に人を走らせてしまいます。

・長期的な目標を考えて、それを実現するのに短期的な犠牲を払うことこそ、貧困の最も苛立たしい側面から解放される第一歩なのだ。

・貧乏人の事業はしばしば、通常の雇用機会がないときに、仕事を買うための手段でしかないように見えます。

・西洋ですら、「働いていない」妻がやってくれる各種家事作業について、夫たちが口先だけでも感謝してみせるようになったのはごく最近のことです。発展途上国の夫たちが、妻たちについて、実際よりもずっと暇を持て余していると思っていない方が驚きでしょう。

・どこでこの質問をしても。貧乏人の一番ありがちな夢というのは、子供に公務員になって欲しいというものなのです。

・マイクロ融資など、ちっちゃな事業を助ける手法は、貧困者の生活において重要な役割を果たせます。でも、それが貧困からの大量脱出の道になるというのは、自己欺瞞でしかありません。

・こうした国が植民地時代から引き継いだ制度は、その国の発展を意図したものではなく、植民地支配者たち自分たちの利益になるよう、資源を最大限に収奪できる構造となっているのです。

・植民地支配から脱しても、新しい支配者たちは同じ収奪的な制度を維持して、自分の利益のためにそれを使うほうが便利だと気がつき、これにより負のスパイラルができあがります。

・ダメな制度の悪循環を破る方法の一つは、外から変化を輸入することです。

・インドの警察署は未解決事件数で評価されます。つまり、未解決事件が多いと、それだけ評価が下がります。ですから評価を上げる簡単な方法は、なるべき事件を記録しないことです。

・インドの警察は、昔から残る植民地制度の完璧に近い事例です。もともと植民者たちの利益を守るために設計されたという事実にもかかわらず、独立後に警察改組の試みは一切ありませんでした。

・有権者たちはしばしば自分が何を選んでいるのかほとんど知らない、ということです──どうせ投票時以外では候補者に会ったことがないのが通例で、その選挙時にはみんな一斉に出てきて、おおむね似たような公約を並べます。

・情報キャンペーンが機能するには、いくつか特徴が必要です。人びとがそれまで知らなかったことを伝えなくてはなりません(「婚前交渉はやめましょう」といった一般的なお題目は効果がないようです)。それも魅力的で単純な方法でやるべきです(映画、演劇、テレビショー、上手く設計された成績表)。そして信頼できる情報源からのものでなくてはなりません(おもしろいことに、マスコミは信頼できると思われています)。

・たとえば人は、嫌なことはつい先送りにしてしまうとか、とりかえしのつかないことにこだわって失敗をついつい重ねてしまう、とかいうのは、実生活では小学生でも知っている常識だが、行動経済学ではこれがノーベル賞級の一大知見だ。

・貧乏人に厳しいことを言う先進国の僕たちや高齢の金持ちたちは、実は過保護なくらい各種の社会制度に保護された、甘ったれた立場にいる。その甘ったれぶりを認識せずに、貧乏人や失業者に厳しいことばかり言うのは滑稽なことなのだ。

・今途上国の貧乏人が貧乏なのは、別にグローバル企業は途上国の貧乏人のところにきて日々お金を巻き上げているからではない。彼らは搾取されるほどの富を持っていないのだ。

・そこに誰か貧困を長引かせている悪人がいるわけではない。貧乏は、昔からずっと人類とともにあった。だから、変な見当違いの犯人捜しに血道をあげるのではなく、そこから脱出した希有な経験をもとに、それをもっと広げることに専念しなければならない。



貧乏人の経済学 - もういちど貧困問題を根っこから考える

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  • 作者: アビジット・V・バナジー
  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 2012/04/03
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