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『負けない力』 [☆☆]

・人間が社会生活を営む上で必要なのは、自分の欲望をコントロールすることです。実際にそういうコントロールが出来ているかどうかは別として、重要なのはその「必要」を理解して、自分自身が生きる上での前提にしておくことです。それこそが「知性がある」です。

・普通の人は自分のIQなんて知りません。それで、「努力すれば何とかなる」が建て前の民主的な社会は、「努力が報われる数値」であるかのような「学校の成績」を使って、「頭のよさ」を数値化しようとしたのです。

・「負けない」のレベルでは駄目で、「列強」と言われた西洋諸国と互角になって、さらには「勝つ」というところまでいかないと安心出来ないのです。近代の日本政府はそのように考えて、「富国強兵、殖産興業」というスローガンを打ち出します。

・負けたら大変な被害が生まれるんですから、「負けないこと」をまず第一に考えるべきです。でも、どういうわけか日本人は、「どうして我々は負けてしまったのだろう?」を考えないのです。考えるのは、「もう一度勝とう」ばかりです。

・日本の教育がすごいのは、教育関係者が「独創性」というものをよく分かっていないところです。さすがに、「独創性を伸ばす教育」がない国です。

・「自分で考えない」ことに関する答えはもう一つあります。「私はそんな状況に陥らない」と断言することですね。でも私は「もし穴に落ちたら?」と言っているのです。それに対する答えが「私は穴に落ちない」だったら、その人はイマジネーションに欠ける人になります。

・「我々は貧乏である」ということを前提にした社会主義思想。

・自分の属する「社会」から追い出されると生きて行きにくくなるのが、「貧しさ」が支配的な時代です。

・高級ブランドが「普通の人間」が求める理由は、「私は高級ブランドを「知っている」。知っているから、私はそれを「選べる」」という知的優越感によるものなのです。その後に「そして買える」というものが来ます。

・「多くの人が目立とうとすると、多くの人は「目立とうとする多くに人の中の一人」にしかなれない」という悲しい現実もあります。

・実は、「自分は何が分からないのか、言われたことのどこが分からないのか」を説明するのは難しいこととです。だから、「何か分からないところがありますか?」と聞かれて「あるな」と思っても、「自分はどこがどう分からないんだろう?」と考えるとよく分からないので、手を挙げるのをやめてしまったりするのです。

・外から「指示」が飛んで来るまで、自分からは何もしない──そのように思われている人達で、つまりは「自分から発信する」ということがない人達なのですが、この人達は「だめ人間」ではなくて、「よき市民になるための教育を受けた、よき市民」なのです。

・大学からなくなった「教養」は、今やオバさん達の通うカルチャースクールが管轄するようなものです。

・受験勉強の中で「疑問」は必要ありません。生徒に「疑問」を持たせてしまうのは、その教師の教え方が悪いからで、優秀な教師や講師は、生徒が「余分な疑問」を持つ必要がないように、「覚えておくべきこと」を無駄なく教えます。

・日本人は意外と簡単に、「自分の考え方」を変えてしまいます。それはたとえば、受験で「目的の上級学校」に入学した時に起こります。一生懸命勉強して、目的の上級学校へ入学した途端、「勉強する」を忘れてしまう人はいくらでもいるでしょう。

・民主主義はまず、「めんどくさいことを考えなくてもいい」という形で日本人の上にやって来ます。それまでは「まず第一にお国のため」を考えなければなりませんでしたが、そのめんどくさいことをもう考えなくていいのです。

・筋肉に負荷をかけただけでは、筋肉は増えません。筋肉がダメージを受けるだけで、負荷をかけた後に休ませることによって筋肉は増えるのです。鎖国状態になって「日本独自の文化」が生まれるのも、この「休息」の結果です。

・「他人の知性が理解出来ない」というのは、その当人の中に知性がないということです。

・恐竜という類は二億年近くの時間を生きていて、そんな長い間「知性を発達させる」という方向へ進まなかったのだから、どう考えても恐竜には「知能を持って発達させる」という必然と可能性はなかった。

・人間のやることすべては、「慣れればなんとかなる」というもので、慣れようとしないでいる間は「なんともならない」のです。



負けない力

負けない力

  • 作者: 橋本 治
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2015/07/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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