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『「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済』 [☆☆]

・不確実であることが、「希望」がないことと同義で語られる。先がどうなるかわからないことは、新しい希望にあふれているとも言えるのに。

・人間を「怠惰な動物」と規定し、怠けることは罪ではなく、自己修養や利益追求に邁進する人間こそ常軌を逸していると説いた。

・個人や社会のあらゆる悲惨さは、労働への情熱から生まれる。

・ピダハンは、実際に見たり体験したりしたことのない事柄――私たちが「過去」や「未来」と位置づける事象や伝説・空想の世界――に言及しないし、そもそも関心を示さないのだ。

・新芽から濃く色づいた葉っぱをある時点で「緑」と呼ぶのは、「緑」という概念が先にあるからであり、そのような概念がなければ、「色が変化していく葉っぱ」でしかないのである。

・過去や未来を語らないことは、過去や未来、抽象的な概念を持たないこととイコールではない。

・村人全員が、他の人々と比べて損をしないよう「いかに努力をしないか」を競っていけば、結果として最小限の努力でギリギリの生計を維持しようとする社会になる。

・近代化とは、時間を等速的で不可逆なものとして客体化し、時間が価値の基準となる、時間の合理性が成立する過程である。

・世界的にみると、農業や漁業を除いて、一つの仕事を老いるまで続ける人の方が圧倒的なマイノリティである。

・人に指図する仕事しかしなかった人には、退職した後に自活できない人が大勢いる。

・いかなる商売でも、先鞭をつけた商人が後続の商人に商売方法を気前よく教える結果、同じ商品を扱う商人はネズミ算式に増加し、きわめて短期間のうちに特定の商売は飽和状態になる。

・「殺到する経済」とは、「「儲かる」と思われる業種にドッと大勢の人々、会社が押し寄せて、すぐにその商品が生産過剰に陥り、価格が暴落して、参入した企業が共倒れになる経済のこと」を指す。

・誰かが成功して団子状態から一抜けすれば、その分だけ誰かの余地が生まれる。動けるのに動かない人間は、他のみんなの余地を奪う。

・ここでサバイブするために必要なのは、「私だからこそ/私だけは」の信念と、対面する人々との間で騙しや背信を織り込んだ「了解」「信頼」をいかに築くかにかかっている。

・面倒な交渉を通じて人間関係を築いてやり取りしない限り、容易に「カモ」にされる。

中国では、模造品やコピー商品、偽物は山寨(さんさい)製品と呼ばれる。

・品質保証やアフターサービスもない。しかし、安さとスピードを極限まで高めれば、人々は短期の買い替えを前提として、これらのことを気にしなくなる。

・半年そこらで壊れる中国製品は不経済だが、5年、10年壊れない日本の高すぎる製品は意味がない。

・中国製品より少しだけ良いモノを手の届く価格で生産できないものかと。

・安価な中国製品を商う露店や路上商人がひしめく路上空間も、私たちにとってのコンビニと同じように、タンザニアの人々にとっては日常に埋め込まれた「だらだらした消費」の空間でもある。

・必要に迫られた消費と偶発的な消費はときに一致する。なぜなら急に欲しくなった商品の中には、計画的に購入を先延ばしにしてきたわけではないが、思い起こしてみれば、たまたま必要に迫られなかっただけで先延ばしにしていた「欲しかった商品」が含まれているからだ。

・長持ちしない安物なら、遊び心あふれる商品やすぐに飽きる奇抜な商品を購入してもいい。

・資本主義経済が発達し、あらゆるモノが貨幣に置き換えられていくと、人は債務を負っても、すぐに市場で労働を貨幣に換えて、負債を支払うことができるようになった。

・何事もカネでカタをつける方法が一般化したので、「恩」や「負い目」などの「借り」を作らずに済むようになった。資本主義経済は、社会のしがらみから人々を解き放ち、あたかも自律的に生きることができるという錯覚をもたらしたのだ。

・カネがない人は負債を支払えないし、かといって「自律」的主体観に価値を置くようになった社会にいまさら頼ることもできず、結果として、人々はより大きな苦しみを味わうようになった。

・「借り」により他人に束縛されたくはないが、孤独に生きるのも嫌だと考えた彼らが殺到したのは、インターネット上のバーチャルな関係である。彼らはネット上から情報やアイデアを借りて自己利益に換えるが、それらを返す必要性がある「借り」だとは考えない。

・エム・ペサは、これまで銀行サービスにアクセスできなかった人々がお金を安全かつ安価にやり取りする手段として、アフリカ諸国で急速に広まった送金サービスである。

・50人くらいにカンパを募るメールを送ると、5万シリング(1万シリング=約5ドル)くらいなら余裕で集まるようになったため、返済の義務をともなう借金自体をしなくなった。






「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~ (光文社新書)

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タグ:小川さやか
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