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『絶望読書 苦悩の時期、私を救った本』 [☆☆]

・四つか五つの動作や手順からなる単純な仕事さえうまくこなせない知的障害の人々が、音楽がはいると、それらを完璧におこなうことができる。彼らのぎこちない動きは、音楽や踊りになると突然消えてしまう。

・うまく動くことができない人たちでも、音楽があれば、うまく動くことができるのです。

・幼い子供たちは、物語が好きでそれを聞きたがる。一般的な概念や範例を理解する力はまだないうちから、物語として示される複雑な事柄は理解することができる。世界とはどういうものなのかを子供に教えるのは、「物語的な」なるいは「象徴的な」力なのである。

・幼いホヤは、終生の棲家にできるような適当な岩やサンゴ礁を求めて海を漂う。この探索のために幼いホヤには小さな脳が備わっている。適当な場所を見つけて根を張れば脳はもう不要になるので、ホヤはこれを食べてしまう。

・「人生脚本」という言葉があります。人は、すでに幼い頃に、無意識のうちに、自分の未来の生き方の脚本を書いている、という考え方です。

・人が本を最も切実に必要とするのが絶望のときであるなら、古典として残るものに、絶望的なものが多いのは、当然のことでしょう。

・絶望の中にあって、どうしていいかわからない人間が、絶望の物語の中に救いと答えを求めるのです。

・チャップリンに、「人生はクローズアップで見れば悲劇、ロングショットで見れば喜劇」という言葉があります。

・アリストテレスは、「その時の気分と同じ音楽を聴くことが心を癒す」という説をとなえています。これは「アリストテレスの同質効果」と呼ばれています。

・ピュタゴラスは、心がつらいときには、「悲しみを打ち消すような明るい曲を聴くほうがいい」という説をとなえています。これを「ピュタゴラスの逆療法」と言います。

・心がつらいときには、(1)まず最初は、悲しい音楽にひたる=アリストテレスの「同質の原理」、(2)その後で、楽しい音楽を聴く=ピュタゴラスの「異質への転導」、というふうにするのがベストで、そうするとスムーズに立ち直ることができるのです。

・人は、自分が助力して相手が立ち直ると、相手のことが好きになります。でも、自分が助力を申し出ているのに、相手が立ち直ろうといないと、憎むようになるのです。

・UCLAが行なった研究によると、ストレスが高い状況にさらされたとき、「それを表現する言葉がある」と、ストレスホルモンの放出が抑制され、ストレスが鎮まるそうです。

・絶望し、孤独に陥ったとき、そういう気持ちを言葉で表してくれる本を読むことは、それだけで、絶望や孤独をいくらか癒してくれるのです。

・読書とは、余裕のある人が美食をするようなものではなく、もっと切実な栄養補給だと思います。

・みんなが話を聞きたいと思うのは、通常、困難を乗り越えた人です。山に挑戦して、頂上まで到達した人です。山に挑戦して、途中で引き返した人、困難を乗り越えられなかった人には、なかなかマイクは向けられません。

・『変身』がある四人家族の長男が身体か精神を病んで廃人になったという物語だったら、よくある不幸な物語以上には人の心をとらえることはなかったでしょう。青年がある朝巨大な毒虫になってしまった、というフィクションが、この物語をどの人生にもいくらか思い当たるような大きな物語にしたのでした。

・国や政治状況はどんどん変わりますが、人の日常生活というのは、変わらないものです。

・「たとえどんな生き方でも――ただ生きていられさえすればいい!」という真実に気づけるのは、殺されかけたことのある人間だけです。

・何百年も前に作られた落語で、今でも人が笑うのは、それがいつの時代も変わらない、人間の「ダメさ」を描いているからです。

・立派な人が出てくる落語は、だんだん衰退していきました。なぜか? 立派なことというのは、もともと無理をして、背伸びをして頑張ってやっていることです。そういう立派なことは、時代の価値観や美意識によって、どんどん変化します。

・「人間の脳には、音声に集中すると、その他の考えが浮かびにくい特性がある」のだそうです。だとすると、いろいろ悩み事があるときには、そういう意味でも、落語を聴くのは、救いとなるかもしれません。

・落語の明るさは、立派な人間になれないこと、立派な考え方ができないこと、立派なことができないことを、たしかにダメだけど、それが人間というもので、それもまた愛おしいではないかと、大きく包み込む明るさなのです。

・千人のうちの一人になれる人を励ますよりも、残りの九九九人をどうなぐさめるかのほうが、よほど大切なことだと思います。しかし、そこはまったく無視されがちです。

・いったん抱いてしまった夢を、どうやって終わりにしたらいいのか、わからなくて困っている人は、とても多いと思います。

・家族がいないというのはどういうことかというと、「誰も自分を特別視してくれない」ということです。その他大勢、有象無象、そういうふうにしか見られなくなるということです。

・「人というのは、だいたいこんなことを思っているものだ」と、どこかでたかをくくってしまっている。



絶望読書――苦悩の時期、私を救った本

絶望読書――苦悩の時期、私を救った本




絶望読書~苦悩の時期、私を救った本~

絶望読書~苦悩の時期、私を救った本~

  • 出版社/メーカー: 飛鳥新社
  • 発売日: 2016/05/14
  • メディア: Kindle版



タグ:頭木弘樹
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