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『本に埋もれて暮らしたい 桜庭一樹読書日記』 [☆☆]

・都会でビルが建ちならぶ様子をみて「ビルが地面から生えてきた」と思う人はビル好きで、「ビルが地面に刺さっている」という人はビルに対して否定的な人でしょう。

・すごい剣士のほうが、戦って奥の奥のほうに行っちゃうから、死に近づいて、早死にする。

・まぁ、いいか。世界のほとんどは無駄でできているのだ。たぶん。

・夫婦というものは時間をかけて、男と女じゃなくなって、それで、他人にもどってしまえばくっきりした別れが訪れて、親子や兄弟のようなべつの近しさを得れば続いていくんだろうか。

・小説もまた、書く人が、ちいさい神さまをみつけては、読む人に目撃させるための道具、四角い「読む祝祭空間」なんだなぁ。

・謎が解けて、不思議が消えて、また、明日がやってくる。

・確かに、さっぱりわかってない人の、いまにも壊しそうな触り方のような……。

・わたしは、この機械の……これによってもたらされる……新しい世界観が知りたいんだ。

・ある現象があって、それを理論にして、分析して、とずーっとやっていると、最後に「どうしても理論では太刀打ちできない、不思議でおそろしいもの」が、ちょっとだけ、残る。それが小説の核だ。

・理屈では誰にも説明できないけど、畏れとともに、あっこれが人間だとストンと腑に落ちる謎。

・アメリカの歴史は短くて、妖精や土着の伝説がないので、その代わりにアメリカ人は宇宙人の話が好きなのだ。

・電車でもどこでも、座らねぇことにしてる。人間、てめぇの二本の足で立ってたほうがいいにきまってんだ。

・バスに乗ったときはガラガラでもぜったいに座らない、そんな謎の女子中学生になったのでした。

・えぇ、じつは、「世界とわたしの間でボタンの掛け違い」がありまして。

・愛を知らずに育った子は、乞い続けるひと「愛乞食」になる──。

・起こった出来事を、ここから切り取って、ここをラストシーンにしよう、と編集する技術こそがフィクションだ。

・こんなに淋しいのになぜ人間が嫌いなのだろう? こんなに淋しいのに人間が嫌いなら、いったいどうすればいいのだろう?

・生まれた息子の名前を「意味をもたせてしまうとこの子を縛ることになるから」と、意味がなくて日本語でもフランス語でも自然な響きの名にした。

・さいきんは携帯もなにももたずにいくので、もしも、帰りに車に轢かれたりしたら身元不明になっちゃうと思うと、背中の産毛がぞわぞわと立つ。

・全然周りを構っていないようだけど、人に見られているのは意識していて、あ、いいな、とか、おかしいんじゃないの、とかいう声を聞いている。

・儲けるということは、誰かから奪うことです。

・京の女子の性の悪さは天下一品やないか。まあ、ええべべどすなあ、いいながら、ちょいとまくって裏地を見る、というのが京の女子や。

・法曹界には──主に弁護士がいうことだが──「七五三」という言葉がある。「被告人は弁護士に真実の七分を言う。検事には五分を言う。そして法廷に出るのは三分にすぎない」という判断を、子供の祝事の「七五三」に引っかけた洒落である。

・トイレの照明をブルーにすればいいんだよ。ファストフードの店でやってるみたいに。そうすれば静脈が見えないから、麻薬を打てないんだ。

・バイロンさんはもう天童さんの本に出てこないのかな、それなら、本から本へとズルズルと歩いて、名を変え、姿も変えて、転生して、いつかわたしの本にやってきてくれないかな。

・わたしはいつも対話というものがへただ。インタビューで質問にちゃんと答える、とか、用意してきたことを一方的に話すのはできても、相手の発言を受けて、返して、議論がふくらんでいく、というのがすごくへたくそなのだ。

・対話というのは、社会性のバロメータだと思う。

・いい俳句が二編あれば、短編が書けます。

・でも、幸運にも賢人に会えても、自分の中にしかとした問いがなければ、ならんのだ……。

・現代短歌も好きでよく読んでるけど、こちらは日常の一瞬を魔法のように切り取るもので、それ自体が小説のよくできた一節に近いのかな、と思った。

・もともと物静かな人が書いた静かな小説、とちがって、とても饒舌な人の「渾身の沈黙」によって書かれた、緊張みなぎる抑制、という気がしてきた。

・安定した上機嫌で、でもちょっとばかり周りの人間に対して上の空だ。

・とはいえもう大人なので、マイペースに過ごしつつ、自己の責任はちゃんと果たす、という危険な綱渡りからめったに落ちない。

・ガラス屋に踏みこんだ象みたいだ。そっと歩くことをあいつは知らない。

・人それぞれ自分自身の孤独を確立しないかぎり、人生は始まらない。

・新聞の死亡記事に、はりきってこう書かれるわけですよ。「女性作家、孤独な死!」。……まるで孤独が悪いことであるかのように。

・アリはいつも群れで行動してるでしょ。だから孤独な人たちはアリの幻覚を見るみたい。

・起こった出来事を、頭の中で編集して物語化して、プロローグとエピローグを決めて、語る。みんな、そういうお話作りを日々、無意識にやっているものだ。

・思いださないほうがいいのかもしれない。なにか自分の許容量を越える、悪い意味で運命の本なのかもしれない。でも気になる。

・活躍中の作家の全集って全集じゃないのでは(その後もまだまだ書くから、全部じゃない)。

・アル中の人と結婚する女性は父親がアル中のことも多い。「それを乗り越えなきゃいけない」という強迫観念があるから同じ失敗をくり返すという話を聞いたことがあります。

・二週間に一回くらい、「もう大人なのになー。おかしいなー」って思うことないですか。自分が子供の頃、大人はもっと大人だった。

・「この作品はどうしてこんなふうに作られているのか、きっとこういう意図があるんじゃないかな」みたいなことは考えていて、それがわかった気がすると修行が一歩前進した気分になる。魔法が一個使えるようになった感じ。

・突きつめ型の人には二タイプありますよね。目標がはっきり見えていてそれをタテ方向に目指す修行タイプの人と、ヨコ方向にはじからはじまで制覇したい人と。



本に埋もれて暮らしたい (桜庭一樹読書日記)

本に埋もれて暮らしたい (桜庭一樹読書日記)

  • 作者: 桜庭 一樹
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2011/01/27
  • メディア: 単行本



タグ:桜庭一樹
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