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『本のおかわりもう一冊 桜庭一樹読書日記』 [☆☆]

・不気味といえば誇張がある。ふしぎのほうがまだピッタリとする。

・チマチマと小さな常識に腕を通してまとっている自分を嘲笑したのだ。

・サヴァル夫人の経営するメゾン・クローズの敷居を一歩またぐと、その政治家はメドールという名前の犬に変身する。男が犬に変身するのではない。犬が人間に変身して、外の世界に出てゆき、メゾン・クローズに帰ると、犬に戻るのである。

・神殺しの商売――現実を再創造する小説家。

・エンターテインメントは、求めるものを得るために、何かを失うことに眼をつぶる。

・成長につれて言葉は増えていく。心の中に確かにあるけど、名付けられてなかった、もにょもにょした感情を認識していく。言葉は、楽しい。

・「善」と「悪」の中間は存在しなかった。わたしは生まれて初めて「世界」の真の自然というものを理解できたのである。もしかしたらそれは「悪」の領分だったのかもしれないが、「知識」の領分でもあったのだ。

・朦朧法とは、作中で起こる怪奇現象の原因を明らかにしないで、読者の想像にゆだねることで、恐怖を増すという方法のことです。

・選考委員になると「新しい風を!」とか思うけれど、ではほんとうに新しい小説がやってきたときに、自分はちゃんと、ナイスポーズで、びしっと青年の顔を指差し「おい、そこの君……。風だッ!」と言えるのかな。

・カンパリソーダで乾杯して、お互いの近況の上書きを行う。定期的な相互バックアップだ……。これで、自分が忘れちゃったことも五年後ぐらいに「こんなことしてたよー」と指摘してもらえる。

・世界の残酷さの前で被害者である子供が、その立場に甘んじず、そのあいだを埋めていく。それこそが成長であり、世界を変える力だ。

・書物にあるのは問いだけで、答えは読み終わってから自分でみつけるもの。

・テレビからは連日、津波の映像や悲惨な状況が流れてきて、ツイッターでは善意と正義が全裸で走り回っている。

・「二万人が死んだ一つの事件」じゃなくて、「一人が死んだ事件が二万件あった」んだ。

・この戦争に関係した者はだれももととおなじふうな幸福には二度となれないだろうよ。しかし、よりよい幸福だと思うね。

・じつは正義や自己犠牲の概念を習ったのは、実在の大人からじゃなくて、本からだった気がするよ。

・国じゅうが惨憺たる状態にあって、生半可な涙や笑いが受けようはずもない。人々のまなざしを爛々とさせられるのは、もはや僕らのような、圧倒的に惨めな存在だけだ。

・物書きは、政治や経済にかかわる人たちとちがって、世の中の外側にいて、社会を直接変えるわけじゃない。物語るというのは、すこしでもよくなるようにと、変わるようにという祈りなんじゃないか、と思ったのだ。

・「国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国だった」という出だしの一文があまりにも有名。とはいえ、二文目の「夜の底が白くなった」も負けずにかっこいい。

・小説家の任務とは、忘れられないある種の人物を創造することだ。

・輝かなきゃだめだッ! たとえどれだけたくさんの人が一緒でも、そこに君がいて、一生懸命、稽古しているってわかるように! 輝け―ッ!

・悪は善なしで生きられないんだよ。

・どうも犬というのは、変化よりも、昨日と同じ今日が好きみたいで、いつものゴハン、散歩、昼寝をのびのび楽しんでいる。で、いつもとちがうことがあると、若干怯えるようだ。

・「売れたものを読めば外れがない」という考え方が普通になっていたんでしょうね。ほんの少し前まで「ベストテンがどうした、オレが決めてやる」と思って本を選んでいたのに。



本のおかわりもう一冊 (桜庭一樹読書日記)

本のおかわりもう一冊 (桜庭一樹読書日記)

  • 作者: 桜庭 一樹
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2012/09/27
  • メディア: 単行本



タグ:桜庭一樹
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