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『書物奏鳴』 [☆☆]

・謙虚も、丁寧な話し方も、過ぎれば嫌味だ。率直にいって、君のは慇懃無礼の域に達しておるよ。

・いくら賢くても、まったく興味のないことを頭に叩き込むことは難しい。

・友達をつくり、野原を駆け、水に遊ぶ、音楽を聴き、美しい絵を観る。そして、万巻の書物を読み、世界の知識を得る。君がやらなければならないことは、まだまだ沢山あります。陽炎のような、遠い将来のことを気に病むのは早すぎますよ。

・拳銃というのは、至近距離でなければ当たらん。将校の装飾品としては見栄えがするけれど、実際には、剣と同等の効果しか持たぬ自衛用の武器でしかない。

・最新式の軍用拳銃でも、射程距離はせいぜい五十から百メートルほどにすぎない。ましてや、コルトの旧式拳銃で、狙った相手に命中させようとするなら、およそ十メートル以内に接近する必要がある。

・マスケット銃は、はるか昔に時代遅れになった、旧式の兵器だ。しかし、意外なことに、いわゆる拒止力(ストッピング・パワー)、標的を行動不能におちいらせる能力は、速射性能や射程距離の延伸を重視した現代の銃の多くを上まわっている。今日のそれよりも、弾丸が大きく、かつ重いため、衝撃が強くなるのだ。

・わずかなあいだに多数の弾丸を放つことを目的に設計された短機関銃は、ほとんどのものが拳銃弾を流用している。ウージーも例外ではなく、NATO、北大西洋条約機構に属する軍隊の標準装備である、直径九ミリ、長さ十九ミリのパラベラム弾を撃つ。

・敵がいそうなところに弾丸を撃ち込んで、応戦を誘い、居場所をあきらかにする戦術――捜索射撃である。

・ランティエと呼ばれる、不労所得で暮らす階級の仲間入りするのは、フランス人なら誰しも願うことだ。

・日本の射撃術の教えに、「暗夜に霜が降りるがごとく」に引き金をひけというものがある。乱暴に撃てば、勢いあまって、狙いがそれるからだ。

・イギリスの情報機関は伝統的に、一流大学を出たエリートを採用する。

・「軍事地理管理局」の努力の結果、ソ連にあっては、全世界のいかなる場所であろうと、縮尺百万分の一、五十万分の一、二十万分の一の三種類の地図を完備するに至った。

・いわゆるスリーパー。防諜筋の疑いを受けないよう、普段は善良な市民として暮らして、一生に一度あるかないかの重要な任務が生じた場合にだけ動く工作員ですね。

・沈没した艦船の権利は、それが属していた国のものです。

・1945年に世界最初の核実験が行われる以前に製造された鉄は、大気中に散った放射能に汚染されておらず、放射性同位体を含んでいない。ですから、ガイガーカウンターなどに使用可能で、鉄それ自体の価値以上の金額で売買されます。

・豊かな生活を送る、以前の西独国民が西(ヴェスト)にちなんでヴェッシー、資本主義に適応できず、みじめな暮らしに甘んじるしかない旧東独国民が東(オスト)のオッシー。

・賢いものが犯しがちな誤謬だった。自らの知性を物差しにして他人をはかるがゆえに、どんな愚か者でもこの程度のことはやるだろうと、かえって過大評価におちいってしまうのである。

・とりわけ、戦前に大学や旧制高校があって、空爆を受けていない都市には、ネット書店などに出れば法外な高値になる洋書が、二束三文で転がっていることがある。金沢は、まさにこの条件に合致していた。




書物奏鳴 (講談社ノベルス)

書物奏鳴 (講談社ノベルス)

  • 作者: 赤城 毅
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/06/06
  • メディア: 新書



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