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『「独裁」入門』 [☆☆]

・メッセージを受け取った人たちは、それをそのままリツイートという機能を使って自らのアカウントから再発信し、あたかも自分が考えたような気分を味わうことができる。

・白紙委任、全権委譲しているのに、支配、操縦されているとも思うことなく、「独裁者」のツイッターのアカウントに同化することにより、むしろ、自分が強くてしっかりした意見を持った人間になったようにさえ、感じることができる。

・日本は「経済力が抜群の国」でもなくなりつつある。では、「マナーやファッションの国」になったかというと、それも違う。つまり、やや極端な言い方をすれば、「センスもカネもない国」になりつつあるのだ。

・「あの人たちに「出席しないダメな学生」というレッテルを貼ってほしい」と望んでいるのかもしれません。

・「差異」から「差別」が生まれるのではなく、「差別」から「差異」が想定されるのである。

・閉塞した社会、危機が押し寄せた社会で、誰もが「そうか! 私たちの苦しみの元凶はこれか」と膝を打ち、「この人たちさえ追い払えば自分たちの苦しみも終わる」と排除に夢中になれるような「誰か」を指摘できること。それこそが独裁者の条件と言えるのではないだろうか。

・心理学では、対象がはっきりした恐れの感情を「恐怖」と呼び、未知の恐れや対象のわからない恐れを「不安」と呼んでいる。

・彼らは「切り取られて困るような発言」はそもそもしないのだ。「ニュアンスを感じて」「文脈をくみ取って」「全体を通して読んで」とそこにないものを想像することを要求した発言・文章はもう通用しないことを、彼らはよく知っているからだ。

・精神医学の現場にも、「極論しか支持できない人たち」がやって来る。この人たちは、心の中にひそむ「多くな不安」から目を背けるための手段として、「白か黒か」「善か悪か」などと心を両極化していると診断される。そして、この病理を精神医学では「スプリッティング」と呼び、ボーダーライン(境界性)・パーソナリティ障害という病の本質であるといわれている。

・「すべてを公開」してくれる橋下氏を、情報の透明性を重んじる誠実な政治家だと正当化し、彼が提供してくれるリアリティ・ショーに熱狂しているのである。そこで人々は「私は活字を理解することができない。映像にしか反応できない短絡的な人間だ」と自己卑下する必要からも解放され、「私は活字マスコミを信じず、映像から真実を判断できる人間だ」と自分への自信を取り戻すこともできる。

・「要望書を届けるくらいならカネ出せよ」といった批判の声が上がった。まさに「同情するならカネをくれ」ならぬ、「署名するならカネを出せ」だ。

・「負け組」の弱者達は「勝ち組」に抵抗するどころか、小泉に与する事で自分も「勝ち組」に乗ったかの様な錯覚を覚えてる。

・真の「強者」に抵抗するんじゃなくて、自分達よりちょっと上の連中に嫉妬して引き下ろそうとする。

・自分の価値が常に「大切な誰かに気に入られているかどうか」で決定しているボーダーライン・パーソナリティの人たちは、基本的に自分が何者かわからないという空虚感に常に苛まれている。

・スプリッティング、すなわち「極端な二分化」と「二者択一」は病理的な心のメカニズムだが、そこにはメリットもある。それは、不安や心の困難に直面しなくてもよい、それ以上、考えなくてもよい、ということだ。

・誰かが提示してくれる「イエスか、ノーか」の選択肢から一方を選び、スリルを感じながら答え合わせのときを待ち、「当たった」「はずれた」と一喜一憂している限り、その人は自分が二分割思考に支配されていることへの疑問、羞恥、苦痛すら感じなくてすむ。

・精神障害者、知的障害者への「安楽死」はT4作戦と称され、ユダヤ人たちと同じ強制収容所ではなく、ドイツ国内六つの病院に付設されたガス室で命を奪われた。その数七万人、さらに食糧制限などほかの手段で結果的には犠牲となった精神障害者は20万人とも27万人ともいわれる。





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