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『評価と贈与の経済学』 [☆☆]

・マスメディアがなくなると、対話の共通基盤が失われてしまう。

・いま、若い男子が一番嫌いなことっていうのは、誰かにいいように利用されるっていうことなんですよ。

・欲望を持ったら、誰かにいいように利用されることがみんなわかってる。「オレたちを資本主義社会に参加させて、結局おまえは儲けようっていうんだろ」っていうようなスタンスです。

・ネット社会だから失敗っていうのが許されない。なんでかっていうと失敗はブログの記録に残って生涯指摘されるからです。この恐怖の記録社会に彼らは生きているんですよ。

・ぼくらは失敗というのが忘れられる時代だったんだけど、彼らは完全記録時代に生きているから。

・自分たちは不遇であるがゆえに賢いのだというようなことを一度言ってしまうと、不遇な立場から離れられなくなるじゃない。

・社会的に「いい思い」をしていると人間バカになるって言っちゃうと、もう「いい思い」ができなくなる。

・よく1960年代高度成長の時代、日本社会は希望にあふれていました。なんてことをしらじらと言うけど、あれは嘘だよ。その当時の日本人の最大の気がかりは核戦争だったんだから。世界が滅びるのかということが当時の日本人にとって、いちばん切実な心配事だったんだ。

・努力と報酬が相関するというのは、理想なの。はっきり言えば、嘘なの。努力と報酬は原理的に相関しないの。

・我慢はしたかもしれないけど、努力はしてない。「しなきゃいけない」と言われたことはしたかもしれないけれど、「これがしたい」と思ったことを必死でしたわけじゃない。

・オタクっていうのは人間関係がクールなんです。ドライなんです。趣味が合うから話すけど、「おまえの人間的なことは知らん」「家族の悩みとか知ったこっちゃない」といった雰囲気がって、内面的なことを話すのはカッコ悪いことなんです。

・ロンドンって私有地が一箇所もないんですよ。ロンドンの全てが英国王室の所有地ということで、家賃収入が入ってくる。国王と国民の関係が、大家と店子っていうのは、彼らがたぶん何百年もかけて見つけた落としどころなんだと思います。

・だったら、なんであと三人に声かけて、「ねえ、一緒に部屋借りない?」って言えないんだろう。「他人に迷惑をかけたくない、他人に迷惑をかけられたくない、だからネットカフェでひとりで暮らす」というのが彼らにとっては「正解」なんだよね。

・欲望を消してリアクションだけで生きていくことを選んでいる。欲望がないからリアクションしかすることがない。

・『シジフォスの神話』と同じで、掃除って、やってもやっても終わらない。せっかくきれいにしても、たちまち汚れてしまう。

・ボールゲームを通じて人々がめざすのは「点数」じゃなくて、ゴールをどれほど鮮やかに、ファンタスティックに決めるかの能力でしょう?

・先生は答えを教えなくていいんです。「最終的な回答を与えない」のが先生の仕事なんですから。質問に答えたら、「ああ、そうか!」って意味がすぐにわかってしまうようなものは教育じゃないですから。

・教壇に立っている人については、「この人はどうして自分が教壇に立っているか、その理由を知っているが、ぼくたちは知らない」という知の非対称性があれば、それだけで学びは起動するんです。

・その先生がすばらしい先生であることを世間に立証するための唯一の方法は「その先生に教わった当の自分がこれほど才能を発揮し、市民的に成熟を遂げた」ということを満天下に知らしめることです。

・いい人であることが重要になってきます。なぜなら、手助けをしてもらえるためには自分が周囲にいい人だと思われてないとダメだからです。

・どうやっていい人になればいいのか。それは困っている人を助けるという基本的なことの積み重ねじゃないかと思うんです。

・人間は強いものに導かれて強くなるんじゃなくて、弱いものをかばうことでしか強くなれない。

・親切って、使ったら目減りするっていうものじゃないから。親切にすればするほど、親切の総量は増えてゆく。

・ドメスティックな集団内部で高い地位にいるから「外部の仲間」が増えるわけじゃない。話は逆なんです。外部に多くの友人を持っている人間が、集団内部でいつの間にか高い地位に達する。

・潜在的な敵たちと持続的で安定した贈与と反対給付の関係を取り結べる人間こそが、仕事のできるやつなんです。

・身元を特定される心配がないと思って、えげつない本音をまきちらしてきたやつが、あとで「身元特定されました」と言われて、「話が違う」と泣いても仕方がない。

・彼は夢を語りませんね。目標しか語らない。

・かつて、多くの社会運動は「けしからん、打破しよう」からはじまっていたと思うんですが、いまでは「われわれは損しているんだ、もっとくれ」からスタートしている。

・AかBのどちらかを選んだら生き残る、どちらかを選んだら死ぬ、というような切羽詰まった「究極の選択」状況に立ち至った人は、そこにたどり着く前にさまざまな分岐点でことごとく間違った選択をし続けてきた人。

・「どうやれば決断力が身につきますか」って聞かれたときに、「決断を迫られてるのはもう負け戦だから」って答えています。

・「前門の虎、後門の猫」とは言わないでしょ。そういう場合に、どちらに進むべきか決断に迷うことはない。「こんなのこっちに決まってるじゃん」というのが正しい選択であって、そのときには「決断している」という意識はない。

・サンデル教授に「こっちを選ぶと五人死んで、こっちを選ぶと一人死ぬ、さあ、どちらを選びますか?」っていう問題があったけれど、そういう決断をするように追い込まれるってことは「間違った決断」を連続的に下し続けてきたことの結果なんだよ。

・いつも強気で相手を責め立てて、窮鼠猫を噛むところまで追い込んで、反撃されると危機的状況に巧みに対応できる反射神経を誇る。これってもう「アメリカの病気」なんだと思う。

・ドラッグ中毒になった人が完全復帰したらヒーローのように扱われますもんね。最初からドラッグに手を出さず、人に迷惑をかけていない人は、それをほめ讃えるほうに回っちゃう。どう考えても、ドラッグから立ち直った人間より、はじめからドラッグやらない人のほうが立派な市民だと思うよ。

・本屋で立ち読みするだけで頭がぐんぐん動きだす人や、ラジオから聞こえてきたワンセンテンスで「わかった!」ってなる人と、時間をかけてていねいに手をかけないと知性が発動しない人がいる。大学は後者のための装置なんです。

・相手の幼児性を温かく許容することができる男。モテる男ってだいたいそうですよ。だって、相手の幼児性を厳しく批判してモテると思いますか?

・世界的な大作家がすごいのは単純に「読者のみなさんがたの知性を私は信じます」というかたちでは迫ってこないことなんです。「みんなわかるよね」じゃなくて「みんなはわからないけれど、君だけにはわかるよね」っていきなり耳元でささやかれたような感じがする。





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