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『大格差 機械の知能は仕事と所得をどう変えるか』 [☆☆]

・機械とともに働くことができ、機械を発明でき、機械に関する知的財産を所有し、機械の産物を世界中の消費者に届ける人たちは、非常に裕福になるということだ。

・機械の進歩は、こんなジョークまで生んでいる──「近代的な繊維工場では、人間を一人と犬を一頭しか雇わない。人間の仕事は犬にエサをやること、犬の仕事は人間を機械に触れさせないことだ」。

・機械の分析は、完璧である必要はない。ほぼ完璧である必要すらない。人間よりも質の高い分析ができれば、それで十分に意味がある。

・サイエンス(science)、テクノロジー(technology)、エンジニアリング(engineering)、数学(math)の四分野──STEMと総称される。

・グーグルの広告などオンライン上で自分を売り込む人が増えており、マッサージ師の世界でも、コンピュータ関連の知識とコミュニケーション能力を組み合わせられる人が有利になりはじめているのだ。

・たとえ一流大学を出ていようと、大学で英文学を専攻した22歳の怠け者の若者が「中の上」のライフスタイルを確実に手にできる時代は終わった、ということは認めざるをえない。

・企業としては、有能な監督者なしに、能力が疑わしく、ミスを犯す危険のある働き手を雇うことにはメリットがない。どんなに安い給料で雇えるとしても、である。

・サプライチェーンの秩序と一体性と信頼性がことのほか重んじられる時代に、あなたが経営者なら、中程度の技能が要求される職にどういう人を雇いたいだろう?

・チームワーク、高い士気、結束は、仲間に入れてもらえない人たちの立場から見れば「排除」にほかならない。排除をおこなってはじめて、高い士気や結束、企業文化が生まれる。

・若者がインターネットやソーシャル・メディア関連の一部の分野で大きな成果をあげてきたのは、これらの分野が未成熟だったからにほかならない。

・チェスと異なり、ポーカーでは、今でも最強のプレーヤーは人間だ。コンピュータが心理戦をおこない、はったりをかましたり、相手の演技を見破ったりすることは難しい。

・経営者の目から見ると、雇ってくれと言ってくる人のかなりの割合は、そもそも採用したいと思わないような人物なのだ。

・「限界生産力ゼロ」の──つまり、その人物が労働力として新たに加わっても、企業の生産物が増えない──働き手。

・4人家族世帯の医療保険料は、現在平均で年間1万5000ドルを上回っているが、10年後には3万2000ドルを超す可能性があるという。企業の目から見て、多くの働き手にはそれだけの値打ちがない。なにしろ、2010年のアメリカの個人所得の中央値は2万6363ドルにすぎない。そのような働き手のために、企業が3万ドルを超す医療保険料を負担したいと思うだろうか?

・ゲームは、認知研究、エンターテインメント、教育、高速情報処理の進歩を土台に、それらの成果を一体化させたものと位置づけられる。

・医学知識の量は、数年で二倍というペースで増え続けているが、人間がそのペースについていくことは不可能だ。そのため、科学と医学が大きく進歩しているにもかかわらず、誤診がいまだに少なくないのだ。

・今日のアメリカで最も頻繁に相談されている医師は、誰だろう? それは、グーグルだ。多くの人は、体調がすぐれないとき、自分の症状をグーグルの検索窓に打ち込んでみる。そして、画面に表示された内容を見てはじめて、病院に行くか、救急車を呼ぶか、あるいは薬を飲むかを決める。ここにはすでに「機械のドクター」の時代が到来しているのだ。

・「教育」が答えだとは思いません。求められる技能は、とくに高度な教育を受けなくても身につくものだからです。スマートフォンを使いこなせる人なら、最新の産業用コンピュータも操作できる。

・最近の恋人探しサイトは人工知能(AI)を使って会員に恋人候補を推薦するものが多く、その点が大きな違いを生み出している。人工知能が推薦する恋人候補は、人が自分で選ぶときとは異なるケースが多いのだ。

・ウィキペディアで「バイアス」の項をチェックすると、48種類ものバイアスが紹介されていた。

・「ナッジ(Nudge)」という言葉を聞いたことがある人も多いだろう。専門家は一般の人々の抱くバイアスを見抜き、それを前提に、適切な意思決定を後押しするための仕組みを設計すべし、というものだ。

・一番問題なのは、誰が見ても明らかなミスを犯すことではない。本当は正しくないのに「正しそうに見える」判断に引き寄せられてしまうことのほうが問題だ。理性に基づいて熟慮の上でくだす判断こそ、警戒すべきなのである。

・機械が判断ミスを犯すのは、銃が不具合により暴発するのとどう違うのか?

・人間の働き手に支払われる賃金は、同様の業務をこなす機械の製造コストを上回ることができない。機械をつくるより金がかかれば、誰も人間の働き手を雇わないからだ。

・機械の製造コストは、人間が生計を立てるために必要な最低限の収入をも下回るようになるかもしれない。そうなると、多くの人が慈善事業に頼って生活する社会が出現するか、人口が急激に減少することになるだろう。

・ある言語学的研究によると、「私」という言葉を多用せず、「あなた」という言葉を頻繁に用い、レジャーに関係ある言葉(「映画」など)を避け、社会的関係をあらわす言葉(「関係」「力になる」など)を用いると、相手の関心を引きやすいとわかっている。

・私たちは脳の機能の一部を「アウトソーシング」しはじめている。実は、人類は昔から同じようなことをおこなってきた。そのための道具は、紙と筆記用具だったり、書籍やそろばんだったりとさまざまだが、機械が進歩するにともない、私たちは、そうした道具類にアウトソーシングできない技能を磨くことに力を注いできたのである。

・私たちはグーグルを利用すればするほど、ものごとを記憶する能力を、少なくとも記憶しようという意思の一部を失っていく。

・マクドナルドが成功したのと同じ理由で、オンラインスクールの利用も広がっていきそうだ。ビッグマックが高級レストランの料理ほどおいしくないことはほぼ誰もが知っているが、それでもマクドナルドは大きなビジネスに成長したのである。

・大学生は。誰かにやる気をかき立ててもらい、明確な成績評価を(やさしい態度で)示されないと、勉強しようとしない。だから、世界最高水準の教育をオンライン上で無償で提供しても、世界のほとんどの人が──とくに、最も教育レベルの低い人たちが──見向きもしない可能性も十分ある。

・インターネットを活用すれば、断片の知識はむしろ得やすくなる。「ミクロな知識」を獲得しやすくなる一方で、専門家以外の人にも理解できる全体像は少なくなるのだ。

・住宅費と食費をメキシコ並みに抑える代わりに、メキシコ並みの家に住み、メキシコ並みの食生活を送ることを選択する人は、どれくらいいるだろうか?

・ほとんどのアメリカ人はメキシコに移住しようとは思わないだろうが、アメリカ国内にメキシコのような土地があれば、移住する気になるかもしれない。

・ベルリンの不動産賃料が安いのは、インフラの劣化が最大の理由ではない。大きな理由は、現在のニーズに釣り合わないくらい、過去に大量の建物がつくられたことにある。

・保守主義はますます、経済的に取り残された人々のイデオロギーになりつつある。

・単純な心理学的理由から言っても、所得と資産の二極化が革命と反乱を生むとは考えにくい。人間の羨望の対象は、たいてい身近な人たちだからだ。

・今、アメリカで最も人々の羨望をかきたてているのは、高級ヨットでもなければ、リッチなセレブの生活を取り上げるテレビ番組でもない。それはおそらく、豊かな暮らしを楽しむ友人たちのフェイスブックの書き込みだろう。

・現在、程度の差はあっても世界中で所得と富の分配の不平等化が進んでいる。その原因は経済成長率と資本の収益率を比較したとき、後者が前者を上回っていることにある。

・費用を安くする(プロセス)イノベーションと新しい財やサービスを生み出す(プロダクト)イノベーションを区別し、ロボット化で前者は進む一方で、後者は停滞すると考えているのかもしれない。

・自他共に認めるコントラリアンである。これは、ある主張に対して、「その一方では(On the contrary)」と異論を投げかける人のことだ。



大格差:機械の知能は仕事と所得をどう変えるか

大格差:機械の知能は仕事と所得をどう変えるか

  • 作者: タイラー・コーエン
  • 出版社/メーカー: エヌティティ出版
  • 発売日: 2014/09/11
  • メディア: 単行本



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