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『創造的破壊 グローバル文化経済とコンテンツ産業』 [☆☆]

・西洋文化は、哲学上の遺産をギリシャから受け継ぎ、宗教を中東から、科学の基礎を中国とイスラム世界から、人口と言語の核となる部分をヨーロッパから継いでいる。

・中世社会とルネッサンスの勃興は、その大部分が、再グローバリゼーションの過程だった。西洋は、中国やイスラム世界との接触を増やした。

・チベットが外部世界へと開かれたのは、中国の寛容な態度を示すものではない。中国の目的は、チベットの土着文化を破壊することだった。歴史、儀礼、寺院、仏教といった豊饒な伝統に対するチベットの人々の傾倒は、数十年にわたる共産主義の威圧的介入によっても弱体化しなかった。だが、コカ・コーラや西洋からの旅行者は、土着文化の破壊という中国の目的を、見事に果たしてしまうかもしれない。

・人の移動は均質化をもたらすことがあるが、同様の結果は、製品の移動によっても生じうる。

・ザイールの大衆音楽のルーツは、1920年にまで遡る。その当時、強制収容所や炭鉱街、鉄道会社、兵役などによって、多くの部族の出身者が、初めて一箇所に集められた。

・金属類が使えるようになると、トリニダード固有の竹楽器の技術は廃れていった。

・インド製の手織物の大半は、かつては非常に品質が低く、単純な色と粗悪な素材を用いており、パターンも粗雑なものだった。今日では「手織り」といえば高品質の織物であることを示す。これは、市場における粗製品の部門を、機械織り製品が一手に引き受けるようになったためである。

・「両極端なものは、ある一点を除けば瓜二つ」ということだ。

・古代ギリシャの黄金期とされるペリクレス時代のアテネには、どんなに多く見積もっても、20万人以下の住民しかいなかったが、哲学、詩、歴史、演劇、政治における創造的な成果は、他に類を見ない。

・「ミネルヴァ」とは、ヘーゲルの「ミネルヴァのふくろうは黄昏に飛ぶ」という有名な一節に出てくる言葉である。これは、文明が自らのあらゆる可能性を既に実現し、衰退期に入った時にしか、その文明を哲学的に理解することはできない、ということを意味している。

・吹替えや字幕つきの映画は、アメリカでは今日にいたるまで不人気だが、他国の観客は特に不満を言うこともない。

・輸出におけるアメリカの優位は、外向的な制作者と内向的な消費者という組み合わせによって支えられている。

・エジプト・アラビア語は、今やアラブ世界で広く通用しているが、その大きな理由は、エジプト人以外の人々が、この言語で制作された映画やテレビ番組をたくさん観ていることにある。

・カナダ文化で最も輸出に成功しているのが、ハーレクイン・ロマンスだ。

・多くの趣味人が自らの専門についての鑑識眼を持ち、正確な質の判断を行なうことができるのは、彼らが他の製品に数多く触れてきたからである。モーツァルトしか聴いたことがない人は、モーツァルトをきちんと理解することができないだろう。

・製品の質を判定できない顧客たちは、おそらく批評家の質も判定できないはずだ。

・ブランドは均質化を推し進めているように見えるが、市場に参入する時点では、イノベーションであることが一般的だ。マクドナルドが成功したのは、アメリカの多くの地域において、ローカルな外食産業よりもマクドナルドのほうが進歩していたからだ。

・もはや大きな地域ごとの差異は存在しない。しかし、ほぼ各個人ごとの差異は存在する。

・レンブラントやプルーストの代わりにメロドラマを観たいと思う人たちも、出来の悪いメロドラマよりは出来の良いメロドラマを好むだろう。

・彼らにとって戦争は省察であり、平和は訓練であった。

・製造業は主に貿易財を生産するのでその活動は「グローバル」である。他方で、サービス産業は非貿易財を中心に生産するのでその活動は「ローカル」だ。

・先進国では経済が成熟していくと、製造業の経済に占めるウェイトが低下し、サービス産業のウェイトが増加するという、「経済のローカル化」が観察できる。

・人件費の下方硬直性(高止まりの原因)を説明する原理として、コーエンは働く人々はそれぞれ自分なりの「物語」に固執しているからだと説く。つまりある水準以下の報酬は、彼の「物語」にそぐわないのである。

・サービス産業のもうひとつの性格としては、製造業の生産性に比べて、低生産性であることが知られている。

・生産性の低いサービス産業の国内生産に占めるウェイトが増え、生産性の高い製造業のウェイトが低下するということは、産業構造の「転換」という観点でみると、日本経済全体の生産性が次第に低下していくことと同義である。そのために先進国では、サービス産業の生産性を向上させることが急務の課題となっている。



創造的破壊――グローバル文化経済学とコンテンツ産業

創造的破壊――グローバル文化経済学とコンテンツ産業

  • 作者: タイラー・コーエン
  • 出版社/メーカー: 作品社
  • 発売日: 2011/05/27
  • メディア: 単行本



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