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『狼と香辛料 19 Spring Log2』 [☆☆]

・いざそうなったらきっと怒るよりも悲しむだろう。そして、泣かれたほうが八つ裂きにされるよりもよほど辛いだろうとも。

・一か所に居着くことのない行商人は、一か所に居着かないことに価値を見出される。やり場のない怒りを仲間の村人に向けることはできないが、余所者のせいにしておけば丸く収まるからだ。

・権力の座は余人が思っているほど居心地の良い場所ではないし、誰にも向いている場所ではない。

・善かれ悪しかれ、人は慣れる。それを心の摩耗と呼ぶ詩人もいるが、この世界はどういうわけか、人に優しくできていないのだ。

・後は、石と石の間に楔型の木を打ち込んで、がっちりと安定させればいい。積み上げるだけでは駄目なのは、経験や人間関係と同じだ。

・丸く収まり万事めでたし、と思いきや、丸く収めた際に切り取った角のことを忘れていた。

・烏合の衆ならぬ、羊の衆でも、きちんと上下関係が存在し、長の首根っこを押さえれば、群れを制することができるのだ。

・時間が経つのはあまりにも早い。忘れないようにするには、爪で目印になる傷をつけるしかない。手首についた、蛭に噛まれた痕のように。

・繰り返しの日常はあらゆることを摩耗させる。そうして日々は滑らかに、順調に進んでいく代わり、記憶に残らなくなる。

・幸せなのに、その幸せのひとつひとつに名前をつけられないのが、悲しかった。

・荷馬車の荷台に乗っけた者は仲間とみなして、全力で関わりを持とうとする。それは商人らしい、積み荷への執着と同じかもしれない。

・気遣いなどというのは、考えれば考えるほどこんがらがり、いつしか己の尻尾を咥える蛇のようになってしまうものだ。

・修道院は、親方が弟子の職人に次々と工房を構えさせるのと同じ要領で、修道院を作るのだと聞いたことがある。そして、上前をはねるところまで同じだと。

・まずは、思いつめず、深刻にならず、楽しく過ごすこと。この原則を忘れていたせいで、ずいぶん面倒を引き起こしたものだ。

・働くことそのものが嫌なのではない。はっと気づいたらすべての楽しい時間が過ぎていたなどと、それだけは避けたかった。

・ここまで仕事が積み上がると、逆にひとつの事件とも言える。これはしばらく後に振り返っても、はっきり思いだせる何かになれるだろう。

・読み返せないくらいたくさん書いたらいい。最後まで読んだら最初を忘れるくらい書いたら、永遠に飽きないだろう?



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