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『すべての戦争は自衛意識から始まる』 [☆☆]

・この世界で勃発する戦争のほとんどは、過剰な自衛意識がもたらした争いだ。

・殺された人たちが自分と同じように、泣いたり笑ったり愛したり愛されたりする存在だと思って(気づいて)いないからだ。つまり想像力が停止していた。そんなとき人は、優しいまま残酷になれる。しかも優しいままだから摩擦がない。

・天皇の御真影は学校などに配置され、その前を通るときに職員や児童は最敬礼を強要された。学校が火事になって御真影が焼けたときは、校長が割腹自殺した。

・メディアは逮捕や摘発には熱狂するが、不起訴や無罪に対してはとても冷淡だ。

・外の世界を知らない。比較できないから対象化や相対化もできない。たったそれだけで、人は信じられないほど簡単に、現状の体制に馴致してしまう。

・結局のところは自衛の意識。これが高揚して大儀となれば、戦争や虐殺はすぐ目の前だ。

・「事実などは存在しない。ただ解釈だけが存在する」と言ったのはニーチェだ。

・日本のメモリアルは被害の記憶と終わった日。そしてドイツのメモリアルは加害の記憶とはじまった日。

・電車の中吊り広告の見出しだけを読んで、朝日は許せないとか捏造新聞だなどと怒っています。そのレベルで従軍慰安婦は存在していなかったのに朝日が捏造したと真顔で言っている人もたくさんいます。

・メディアが身に刻むべきは、「もしも間違えた場合は謝罪する」的な規範ではなく、「謝罪などでは取り返しのつかない加害行為を自分たちは誰かに与えてしまう可能性がある」との自覚なのだ。

・朝日を批判し、自社の新聞を購読するように勧誘する他社のチラシが大量に配布されています。批判は正しい報道を求めるためなのか、それとも商売のためなのか。

・多くの人がその価値の認識を共有するからこそ、貴金属は価値を持つ。つまりブランドだ。抑止力もこれに似ている。多くの人が抑止として機能すると信じられているからこそ、抑止力は抑止力として機能する。

・本能として刷り込まれた危機意識は、天敵がいないことを承服しない。探し続ける。敵が見えない状態が恐いのだ。こうして人は仮想敵を求める。いなければ作り出す。そして安心しようとする。

・安全圏で「血を流す覚悟」などと言っている男や女たちは、まずは紛争地帯に来るべきだ。

・繁殖力が旺盛な要因の一つは、他の植物が嫌がる物質を根から放出(専門用語でアレロパシーという)するからだ。

・良心に関しては多数決は正しくない。ガンジーの言葉だ。

・中吊りを額面通りに受け取って怒る人に、反論や釈明などするつもりも気力もない。それはリテラシーの問題だ。

・下劣な一線をどうしても越えられない。こう見えても育ちは結構いいのだ。会ったこともない人を、自分と考え方が違うというだけで、あれほど下品に罵倒することがどうしてもできない。

・夜中にパソコンやスマホに向かって「www」とか「草草草」とか打ち込みながら、時おりは自分の顔を鏡で見た方がいい。

・あれほどあった「死ね」の書き込みが、今度は「死ぬことはなかった」という書き込みに変わっています。おかしな言い方ですが、人を傷つけるなら、もっと覚悟を持って傷つけるべきだと私は思います。

・一部の指導者の意思や工作だけでは戦争は始まらない。騙した人と騙された人、煽った人と煽られた人。これを明確に二分することなど不可能だ。

・国民の多くが政策に熱狂したとき、政権を支持したとき、国家は大きな過ちを犯す。

・この国でA級戦犯の責任がこれほどに肥大した理由は、天皇制を存続させるために「天皇を騙したり追い詰めたりした人たちがいた」とのコンテクストとが必要になったからだ。

・就任中に物議を醸しながら靖国に参拝した歴代首相は、退任後も靖国で手を合わせているのだろうか(公私の私と言明しているのだから、当然しているはずだよね)。

・最大の自衛とは、安全を脅かす存在を洩らすことなく消滅させることである。

・ダブルタップ(第一次攻撃による死傷者を救出するために集まってきた人たちへの第二次攻撃)なども公然と行われている。

・世代的には圧倒的に年配者が多い。これも大学生や若い労働者が中心だった安保や成田闘争とは大きな違いだ。

・「アカ」(共産主義者)は当時、やはり国家に害をなす「絶対的な悪」の代名詞だった。ちょうど今の「テロ」のように。

・こういう人はいつの時代にも一定数いたのだろうなと考えた。ぎりぎりまではそれらしく頑張るけど、最後の瞬間にだらしなく取り乱して保身に走る。あるいは忘れたふりをする。

・捕鯨そのものを否定しているわけではなく、日本の調査捕鯨には科学的な合理性がないとの判断だ。これに対して「これで鯨が食べられなくなる」や「日本の食文化を理解していない」と反論するならば、結局は「捕鯨の目的が調査以外にあるのでは」との判決の正当性を強化することになる。

・世界は広い。でも人の頭の中は小さい。整理整頓するためにはイメージを折りたたむ。特に規格外に大きいものや悲惨なものについては、この作用が強く働く。つまり矮小化だ。

・加害だけを強調して記憶した実例の一つがイスラエルだ。その結果として被害は加害にあっさりと転換する。自分たちが受けた被害を反転しながら繰り返していることに気づけなくなる。



すべての戦争は自衛意識から始まる---「自分の国は血を流してでも守れ」と叫ぶ人に訊きたい

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