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『プロパガンダ[新版]』 [☆☆]

・世の中の一般大衆が、どのような習慣を持ち、どのような意見を持つべきかといった事柄を、相手にそれと意識されずに知性的にコントロールすることは、民主主義を前提とする社会において非常に重要である。

・私たちの日々の生活は、それが政治であろうと、ビジネスであろうと、社会運動であろうと、道徳であろうと、比較的少数の人間によって支配されているのである。

・すべての人間が、さまざまな問題に含まれる政治的、経済的、道徳的な雑多で小難しい情報の是非を自分で判断するのは不可能だ。すべての人間が、何の助けもなく自分自身の力で決定に至ることなどとうてい不可能なのだ。

・何千万人もの女性は、知らず知らずのうちに、たった一人のファッションリーダーが決めた流行を追いかけている。

・万人の読み書き能力が、精神的高みの代わりに人々に与えたものは、判で押したように「画一された考え(ゴムのスタンプ)」だった。

・何百万人もの運命を左右する姿の見えない支配者は確かに存在する。だが、影響力を持つとされる人物の発言や行動のどの程度までが、彼らを背後から操る利口な人物に指示されたものかということは通常わからない。

・プロパガンダが人間を対象にしている以上、経済学や社会学と同じレベルでの厳密な科学であることは不可能だ。

・大衆というものは、厳密に言葉の意味を「考える」のではない。厳密な思考ではなく、衝動や習慣や感情が優先される。

・何らかの決定を下すとき、集団を動かす最初の衝動となるのは、たいていの場合、その集団の中での信頼のおけるリーダーの行為である。これが大衆にとっての手本となるのだ。

・先の世界大戦の期間、イギリス国内では、「軍人病院」での傷病兵の取り扱い方に問題があるとして大きな非難を浴びた。大衆は「病院」と聞けば、入院患者に長期的で入念なケアを与えるものだと考えていたことがその理由だ。ところが、名称が「軍人救護所」と変更されたとたん、批判はすっかり消えた。そのような名前の施設からは、とりあえず必要なだけの応急処置以上を期待する人などいなかったからだ。

・昔ながらの販売術では、メーカーの営業マンが見込みのありそうな客に対して、「ピアノを買ってください」と言うだけだった。新しい販売方法では、見込み客の方からメーカーに対して、「ピアノを売ってください」と言わせるような状況を作るのである。

・有権者の間に政治的無関心が蔓延しているとよく言われる。それは間違いなく、民衆の心理状況の合わせる方法を政治家が知らないからである。政治家は、大衆が本当に理解できるような分かりやすい言葉で自分自身とその政治公約をアピールできずにいる。

・候補者が魅力的であれば、どんなにつまらない公約であっても、有権者の得票を勝ち取ることができる。これが選挙の錬金術だ。

・かの自動車王ヘンリー・フォードでさえ、フォード車の自動車を通して名前を知られるようになったのだ。「あのフォード自動車を販売しているヘンリー・フォード会長」なのであって、「あのヘンリー・フォードが販売しているフォード自動車」ではない。

・そもそも、世の中が洗練され大衆の間に知恵がつくことで弱まっていくようなプロパガンダは本物ではない。

・新聞が世論を形成するのか、世論が新聞を作るのか。

・バックルという歴史家は、「知的階級と実務階級との隔たりが大きすぎるのだ」と解説している。彼は、このままでは「前者は影響力を失ってゆき、後者は利益を上げられないまま終わるだろう」と、両者の距離を縮めるべきだと警告している。

・教育者は、学校の教室内で生徒一人ひとりの考えを刺激するよう訓練されてはいるが。社会全体に対する啓蒙を行なう役目を果たすようには訓練されていない。

・教師は一種の劣等感を感じざるをえない。なぜなら、生徒の心の中で、教師は外の世界で活躍する実業家やリーダーとして成功している人々と常に比較されていると知っているからだ。

・知性ある人間は、プロパガンダが社会にとって建設的な目的を実現するためのツールとなり、そしてそれが混沌とした大衆社会に秩序をもたらすために有効で、現代的なツールであることを認識しなければならないのである。

・イメージこそが重要であり、そのイメージは工夫次第でいくらでも作り出すことができる。

・壮年期に権力を振るったり、表舞台で活動してきた権力者、金融家、ジャーナリストは、晩年になるにつれて、権力を批判する側に回ることが多い。自分の人生の最後を、「彼は、最後はいい人でした」で終わらせたいという心理は権力者に共通している。

・メディアは、その運営を広告収入に依存している。したがって、個別の企業や財界全体の利益を根本から揺るがすような事実はまず報道しない。

・現在のテレビ番組がシリアスな内容を避け、「お笑い番組」だけを延々とゴールデンタイムに流し続けるのは、企業側に対する配慮である。対立する意見を採り上げるようなシリアスな番組ではなく、「現実逃避的」な享楽的な番組を放送するようにテレビ局に望むのは、スポンサーである大企業だ。

・現在の日本では、ニュース番組までがバラエティ番組化している。テレビは書籍やインターネットと違って「ながら見」ができるので、自然とものを考えないように大衆の脳は作り替えられていく。

・大衆の「潜在意識」に対する働きかけを行い、意識の内容をコントロールする。あらかじめ「キュー」となる判断材料を仕込んでおくことで、いざというときに、あるイメージを大衆の脳裏に浮かぶようにする「プライミング」という実験である。



プロパガンダ[新版]

プロパガンダ[新版]

  • 作者: エドワード・バーネイズ
  • 出版社/メーカー: 成甲書房
  • 発売日: 2010/10/05
  • メディア: 単行本



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