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『悲観する力』 [☆☆]

・未来を予測することは動物の知性の主な機能だ。

・ポルシェ911を買ったときに、ディーラの人からアドバイスされた。「初めてポルシェに乗る人は、追突されるケースが多いので注意して下さい」というのである。つまり、普通の車よりもブレーキが強力で、自分は停まれても、後ろの車が停まれずにぶつけられることが多いらしい。

・どんなエラーが発生しそうか、と考えることによって安全性を高める、というのがテクノロジィの基本である。

・日本人の大多数が、まだ墓がない死後を受け入れられないでいるが、その理由は、周囲の大勢がそうしているからだ。

・今後、日本の人口は減少する。これまでは、子孫は多数だったが、これからは祖先が多数になる。沢山の墓の面倒を子孫に見させ、出費させることになるのはいかがなものかと思うのだが……。

・「楽観」とは、「こうすれば、ああなる」と信じること、「AならばBである」と決めつけること、である。

・考えることは、考える習慣がない人には、もうそれだけで重労働だ。しかし、頭は使えば使うほど回るようになる。

・人間の肉体的な差というものは、それほど大きくない。足が速い遅いの差は、せいぜい数倍だろう。これに比べて、頭の回転数のようなものは、何十倍も何百倍も違うように見受けられる。

・数学のテストが頭のジョギングに適したエクササイズといえる。若いときに算数や数学を習うのは、頭の運動の仕方を覚えるためだったのだ。

・日記などの日常を書き記すものではなく、「日本について」とか「文化について」といった抽象的なテーマで、最低でも二千文字程度を毎日書くようなトレーニングをする。このとき、調べ物をしてはいけない。自分の頭の中にある材料だけで作り出すことが「考える」ことだからだ。

・アマチュアは、プロでも失敗するかもしれない難しい手法で作ろうとするが、プロは、誰がやっても絶対に失敗しない確実な方法で作る。

・「上手くいけば間に合う」といった作業をするのがアマチュアであり、二流の仕事人だとほぼ断言できる。

・判断力に優れた人物というのは、必ずしも瞬間的にあらゆることを想定し、大量の計算をしているわけではない。日頃から、下準備のような思考を重ね、将来に起こりうることのシミュレーションをしている。

・「観察」とは、そういった成長や変化も捉えなければならない。いわば、静止画ではなく、動画を撮れ、ということだ。

・観察に不可欠なのが、揺らぎのない視点である。変化するものを観察するのに、視点が動いていると、見誤ることになる。

・観察するのは自分自身であるから、自分の変化、特に感情的な状態を把握(自覚)していることが非常に重要となる。

・一般の人の多くが、自分の感情の上で思考していて、期待や嫌悪が意見に含まれていることを自覚していない。

・現代社会では、感情的な意見は相手に認めてもらえない。

・そもそも、「考えなさい」と言われて、「考えよう」と思ったときに、大多数の人は過去を「思い出す」だけなのである。これは、考えることにならない。考えるとは、やはり未来に向かった予測でなければならない。未知だからこそ、考えるのだ。

・一生を評価するのも、最後は自分一人である。死ぬときに、「なかなか良い一生だったのではないか」と自己満足できることが、おそらく最上の幸せというものだろう。

・人々は、とにかく考えなくなった。ただ、反応するだけ、ただ調べて、コピィし、ペーストするだけ。右から来た情報を左へ流すルータような動作しか動作しかしていない。

・大工というのは、親方(工務店の社長さんなど)から依頼されて仕事をしている。賃金をもらうのも親方からである。つまり、お客さんである施主(家を建てる人)は、直接の客ではない。

・工芸品を作る職人の場合も同様で、彼らが作ったものを買うのは、消費者ではなく、問屋あるいは専門店だ。だから、そういった玄人から褒められれば嬉しい。

・ごく普通の人でも、感情のかなりの部分は演じている。役者のように装うことも技術的には難しくない。我々が「人間味」と呼んでいるものは、その程度の「外見」なのである。

・「楽観」は、成功する方法を採用し、「悲観」は、失敗しない方法を選択する。



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